「残業削減したい!」と思った時、まずシステム導入を検討するのはやめましょう!RPAとかも一旦待ちましょう!
あるクライアント様のお話です。
NDAとかあるので、細かな事例が出せないのが辛いです。
こちらは慢性的に残業が多い会社です。
申告している残業時間は60時間を超えています。ただ、見えていない残業も多くありある20名以上の部署では全員が100時間を超える残業をしています。
私が仕事をもらった時には、「システム導入を検討しているのでSIの知識が豊富で、自身でもコードが書けて、かつ業務改善ができる人が欲しい」と言われました。
そして、システム開発の予算として800万円程度を組んでいました。
これは結構昔から言われているのでご存知かもしれませんが、システム開発の7割が失敗するというデータ…
古いデータにはなりますが『日経SYSTEMS』2012年1月号「さらば失敗プロジェクト」によると、現在または直近の開発プロジェクトの94.5%に深刻な問題が発生し、そのうち89.9%が同じ失敗を繰り返している、と現場のエンジニアが答えています。
これは私自身、エンジニアの友人やクライアント先で身をもって感じることです。
システムって魔法使いではありません。
システムを導入したからと言って、業務が効率化されるわけではないんですよね。
例えば、部下からの申請を承認しなければいけない。
毎日毎日、何枚もの書類に目を通して押印している…凄く無駄!
「そうだシステム化したらどうだろう!?」
「そうしたら、外出先でも承認できる!」「業務のスピードだってアップする」
↓
承認システム導入
ってなるわけです。それが間違っているとは全くおもいません。
ただ「そもそも、その承認って必要ですか?」の議論がすっ飛ばされていることが多い気がしています。
そして、システム導入の際には初期に爆弾の時間とお金を使います。
しかし、部下がシステムを使用して承認を挙げる工数や上司がシステムに入って承認する工数が、今まで紙に押印していた工数を比較すると対して変わらなかったりします。初期にかけた莫大な時間とお金の回収に驚くほど時間がかかったりします。
もっと、最悪なケースでいうと、紙への押印だった際は、上司からの承認を得るためには、書類は承認依頼ボックスに入れておけば良かっただけなのに、承認システムを導入したことにより、承認申請をかける業務が増えたり、「承認システムに申請上げていますよ!」という電話やメールをするなどというコミュニケーションが余計に発生しているケースもあります。
もっと、書くと忘れてはいけないのは、システムを入れるということは誰かが常にメンテナンスや更新をしなければいけないということです。そのコストもかかります。
私はもともと富士通で働いていましたし、テクノロジーの力を信じています。アナログ主義者とかではないです。
ただ、「業務効率化=システム導入」
となり、無駄な工数や予算に苦しむ企業が無くなりますように!とは思います。
まずは自社の業務についてキチンと理解しましょう。
お客様に価値を生み出さない業務は全て無駄と考えるのがBPRです。
承認するというプロセスは何のために行っていますか?
それが、お客様への品質保証となっているのなら削減することはできません。ただ、ミスのなすりつけや今までの慣習だというなら見直してみるチャンスかもしれません。
今までの慣習のためだけに、承認システムを導入するのは私としては無駄だと思います。
あ、ちなみに既述したクライアント様。800万円の予算は1円も使わずグループ一人当たり74.1H/月の業務時間の削減が実施できました。